指しゃぶりが歯並びに与える影響と対策
指しゃぶりや舌癖(舌の悪い癖)は、お子様の歯並びや顎の発育に大きな影響を与える悪習慣です。これらの癖は、歯や顎に持続的な異常な力を加え、不正咬合を引き起こします。
指しゃぶり・舌癖とは?
指しゃぶりが4歳以降も続くと、歯や顎に異常な圧力が加わり、開咬(前歯が噛み合わない)、上顎前突(出っ歯)、口呼吸の習慣化を助長します。一方、舌癖(低位舌や舌突出癖など)が習慣化し、特に口呼吸が続くと舌が上あごに正しく当たらなくなるため、開咬、上あごが狭くなる顎の成長異常、さらには発音の問題(サ行・タ行など)を引き起こします。
歯科医院でのサポート
定期的な歯科検診
癖による歯並びの変化を早期にチェックし、適切な指導を行います。
口腔筋機能療法
舌や唇、口周りの筋肉を強化し、舌の正しい使い方を身につけるための専門的なトレーニング(筋力トレーニング)を実施します。
矯正治療
5~7歳で歯並びに影響が出始めた場合、マウスピース矯正などを選択肢に、癖の改善と同時に歯並びと顎の成長を促す治療を行います。
舌癖(舌突出癖)が歯列不正を引き起こす理由
舌癖とは、無意識に舌を異常な位置に置いたり、歯に押しつけたりする癖を指します。日常的に「舌先を前歯に押し当てる」「食事中や会話中に舌を前歯の間に出す」「舌で歯を押す」といった習慣がある方は要注意です。こうした舌の習慣が長期化すると、歯の位置や歯並びだけでなく、顔の骨格にも影響を及ぼすことがあります。
舌癖が引き起こす主な「不正咬合」パターン
舌の異常な力によって、主に以下の不正咬合が起こりやすくなります。
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開咬(かいこう)
舌で前歯を押し続けることで前方に圧力がかかり、上下の前歯が噛み合わずに隙間ができる状態です。
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上顎前突(じょうがくぜんとつ/出っ歯)
舌で歯や粘膜を押す癖により、上の前歯が前方に突出することがあります。
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咬合の変形
舌が内側から歯を押し続けることで、歯列全体が広がったり狭くなったりして、噛み合わせが乱れます。
なぜ舌癖が歯並びに影響を与えるのか?
圧力の影響が持続するから
舌の筋肉は非常に強力で、常時歯に接触していると持続的な圧力がかかり続けます。骨や歯は長期的な力によって少しずつ移動するため、この持続的な力が歯並びを変化させてしまいます。
子どもの成長期は特に弱いから
特に子どもの成長期は、顎骨や歯が発育途中のため、舌癖による圧力に非常に弱い時期です。永久歯が生えそろう前に舌癖を放置すると、歯列不正が進行しやすくなります。
悪癖改善トレーニングの方法
お口の筋機能改善(ORT矯正)は、歯並びを悪くする根本的な原因である筋肉の使い方に働きかけるため、主に2つの方法を組み合わせて行います。
専門的な「筋力トレーニング」による癖の改善
矯正というと装置を想像しがちですが、本質は口腔機能の改善です。これは、口の周りの筋肉の使い方を徹底的に指導し、悪い癖を解消するアプローチです。まずは、正しい筋肉の動かし方を習得し、根本からの改善を目指します。
補助装置「オーラルフィットネストレーナー」の利用
こちらは、筋力トレーニングにおける「鉄アレイ」のような補助器具をイメージしてください。マウスピース型の矯正装置「オーラルフィットネストレーナー」は、癖を改善するための補助措置として機能します。お口の内側(舌)と外側(唇・頬)の筋肉のバランスを取りやすく保ち、舌を正しい位置に導くことで、トレーニング効果を最大化します。
習慣を早めに改善するメリット
指しゃぶりや舌癖は、4〜5歳以降も続くと歯並びに悪影響を及ぼす可能性があるため、早めの対策が重要であり、指しゃぶりにはストレス軽減やご褒美作戦、舌癖には口を閉じる練習や硬いものを噛む習慣、そして歯科医院での口腔筋機能療法による専門的なトレーニングが有効です。お子様の歯並びを守り、正しい口腔習慣を身につけるため、気になる癖がある場合は早めに歯科医院にご相談ください。
矯正治療と併用する習癖改善の進め方
歯並び同様、悪癖の根本原因である「顎の成長を妨げる癖や筋肉の使い方」を改善するため、当院の治療は二段階で進めます。
集中プログラム:筋肉の土台作り(約3ヶ月間)
まず、週1回の通院による短期集中プログラムで、筋肉トレーニングを中心に土台作りを行います。
装置を用いた治療と発育促進(1年〜2年)
土台が出来上がった後、月1~2回の来院間隔に移行し、装置を用いた治療で正常な顎の発育を促していきます。
最短で1年半、最長で3年程度の治療期間となりますが、これは正常な発育と癖の改善、適切な歯並びの状況を確認できるまで時間をかけるためです。筋力アップと癖の改善には、お子様本人の努力と親御さんのご協力が不可欠となります。