歯並びと睡眠時無呼吸症候群の関係
睡眠時無呼吸症候群とは
朝の疲労感、日中の強い眠気、ご家族からのいびき・はぎしりの指摘。これらはすべて、眠っている間に何度も呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」のサインかもしれません。睡眠時無呼吸症候群を放置すると、高血圧や脳卒中など命に関わる重篤な病気のリスクが高まると言われています。また、近年小児の無呼吸症候群が増えてきていると言われており、それによるIQの低下などが指摘されているため、早期の対策が重要です。
歯並びが睡眠時無呼吸症候群を引き起こすメカニズム
睡眠時無呼吸症候群の主な原因の一つは気道の狭さです。特に、上あごや下あごが小さく奥に引っ込んでいる歯並びの場合、舌が喉の奥に落ち込みやすくなり、気道がふさがれやすい状態になります。出っ歯や受け口といった歯並びの問題も、口内のスペースに影響を与え、無呼吸のリスクを高める要因となります。つまり、歯並びと顎の骨格の問題が、気道の確保に直結しているのです。
歯科矯正による改善の可能性
気道の確保を助けるために、歯並びや顎の位置を改善する矯正治療が有効なケースが少なくありません。
小児の場合
成長に合わせて顎の発達を促す予防矯正を行うことで、気道を広げ、無呼吸を予防できる可能性が高まります。
成人の場合
歯科で作製するマウスピース型の治療器具(スリープスプリント)を使用したり、矯正治療で口腔内スペースを広げたりすることで、症状の改善が期待できます。大きないびきや日中の強い眠気など、気になる症状がある場合は、歯並びの問題も視野に入れ、当院へご来院ください。
歯列と鼻呼吸・口呼吸の違い
歯列と呼吸は相互に深く影響し合っています。歯並びの健全な成長には、舌・唇・頬からかかる力のバランスが不可欠です。
鼻呼吸がもたらす健全な歯並び
鼻呼吸が正しくできていると、舌は上あごの「スポット」と呼ばれる正しい位置に自然と収まります。
鼻呼吸をしている状態では、舌が上あごの正しい位置に収まることで、内側から歯列を広げる力が働き、さらに口周りの筋肉が外側から支える力と力の均衡が保たれます。これにより、理想的な歯列のアーチが保たれ、歯並びが整いやすい状態が作り出されます。
口呼吸が招く歯並びの悪化
口呼吸が習慣化すると、舌が下がり、口周りの筋力が緩むことで力のバランスが崩れ、歯並びの悪化に直結します。舌が正しい位置から下がることで歯列を支える内側からの力が弱まり、外側からの力に負けて上あごが狭くなるなどの骨格的な問題が生じ、結果として出っ歯や受け口、叢生といった不正咬合を招くだけでなく、口周りの筋肉の緩みは顔の輪郭にも影響を与えかねません。
子どものいびきと歯並びの関連性
子どものいびきと歯並びは深く関連しており、顎が小さいため気道がせまくなり、いびきをかきやすくなります。いびきをかくということは気道がせまくなり、口呼吸をしやすくなりさらに歯並びを悪化させることになってしまいます。つまり、いびきをかいているというのは顎の成長不足を疑う必要があります。
口呼吸が歯並びを悪化させる
いびきをかく子は口呼吸になりがちで、口呼吸が習慣化すると、口腔周囲筋に悪影響を与えて顎の成長が妨げられます。その結果、舌が上あごに付かず喉の奥に沈み込む低位舌となり、永久歯が並ぶスペースが不足することで出っ歯やガタガタの歯並びの原因となるほか、鼻呼吸による成長促進の力が働かず顎の成長不全を引き起こす可能性があります。
歯並びの悪化がいびきを悪化させる
歯並びや顎の骨格的な問題は、気道を狭くし、いびきや睡眠時無呼吸症候群の原因となります。特に、顎が小さいと舌を置くスペースが狭くなり、睡眠中に舌が喉の奥に落ち込みやすくなります。また、出っ歯や開咬といった不正咬合がある子どもは口が閉じにくいため、寝ている間に下顎が後退し、さらに舌が喉の方へ落ち込みやすくなることで、気道が狭まりやすくなります。
歯並びとおねしょの関係について
歯並びが乱れている場合、顎や舌の位置の影響で気道が狭くなりやすいとされています。気道が狭いと睡眠中の呼吸が浅くなり、睡眠の質が低下することがあります。睡眠の質が十分に保たれないと、夜間の尿量を抑える「抗利尿ホルモン」の分泌が低下しやすくなり、結果として夜尿(おねしょ)につながるケースもあると考えられています。そのため、おねしょは単なる成長の問題だけでなく、歯並びや口腔環境、呼吸の状態が関係している場合もあり、総合的な視点での確認が大切です。
早めにご相談を
慢性的な鼻炎などで口呼吸が習慣になっている場合も同様に舌が落ち込みやすくなります。いびきや口呼吸が気になる場合は、歯科医院などの専門家に相談し、歯科矯正治療によって顎の成長を促すことが、いびきや全身の健康改善に繋がる可能性があります。
気道確保と小児矯正の役割
顎が狭いと気道が狭くなり、さらに口呼吸になりやすい傾向があります。この口呼吸は様々な健康問題を引き起こしますが、小児矯正で顎を広げることにより、気道を拡大して鼻呼吸を促すことができます。鼻呼吸には、空気中のウイルスや細菌をろ過する機能があるため、風邪や感染症の予防に役立つほか、睡眠の質の向上にも繋がります。
睡眠への影響によるリスク
顎が狭い状態は気道を狭めるため、睡眠時無呼吸症候群のリスクを高めます。小児矯正によって顎を広げ、気道を確保することは、睡眠時無呼吸症候群の予防に繋がる可能性があります。特にお子様のいびきや睡眠中の無呼吸が気になる場合は、早期の相談をお勧めします。